【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
九、世間知らずの身の程知らず。

「開けて下さい! 美麗、私にも話を! 美麗!」

抑えた扉からは、デイビットさんがドンドンと扉を叩いている。
私の身体を気遣ってか、無理やり開けようとはしない。

個室の母や小百合さん達は、何事かと振り返り私の方を見てくる。

何とか身をよじり、デイビットさんから抜け出して先に此処に飛び込んだのは、私の口から言いたかったから。


「私、幹太さんは本当に素敵な人だし、もう怖くない時の方が多いのですが、でも、お付き合いも結婚も出来ません」

「美麗!」
母が立ち上がり、私の方へ凄い形相でやってくる。
本人を前にして、お見合いを断る礼儀の無さから、怒りで震えているのが伺えるが私も引けない。


「小百合さん、お母さん、私、今妊娠しています」

その言葉に、幹太さん以外此処に居る人は皆、言葉を失い目を見開いた。

「そして、産みたいって思ってます。産ませてもらいます」

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