追憶のエデン
Episode2
二度あることは三度ある。
でも一度あることは二度あるなんて言葉にしてもあながち間違いじゃないんじゃないなんて思えてくる。


――意識が浮上した途端、見知らぬ神殿の祭壇に横たわっていた。神話やファンタジー映画にでも出てきそうな、白を基調とした光溢れる厳かで幻想的な神殿に。


頭上にある高く高く吹き抜ける天井からは自然光が刺し、この部屋の無数に吊り下げられた様々な大きさのスワロフスキーみたいな石が連なるカーテンに反射して、キラキラとあたしの周りで光っている。


暫くその美しさに見惚れていたが、ここがどこなのかもわからず、ゆっくりとした動作で祭壇から降りた。


(またルキフェルとかいう堕天使なのかな?)


コツコツと靴の音を響かせながらこの部屋を出る事にし、どこにあるのか分からない出口を探すために、神殿内を歩き回った。



――白色とは無性に恐怖心を与える。
穢れを嫌い、何にも染めさせない純白色。
永遠とも錯覚させるこの真っ白な廊下を歩き続けていると、拒絶され続けてるみたいで、何だか心苦しい。そしてじわじわと心を浸食していくこの罪悪感は一体なんなんだろう。
押し潰されそうな感情を誤魔化す様に速度を速め歩いて行くと、漸くこの廊下の終着点であろう場所、煌びやかなゴールドフレームで出来たバロック様式の玉座が、中央にある段上に置かれている。ここも天井が吹き抜けにでもなっているのか、静かに光が玉座に降り注ぐ円状の部屋に出てきた。


(すごく綺麗……でも、何だか寂しい場所だな…。)


ここの部屋はそんな印象を持っていて、誘われる様に玉座の近くまでゆっくりと近付いた。



「勝手に人ん家をうろつくなんて随分躾がなってないんだなぁ。不法侵入者さんよぉ!」


(やばっ!)


急に背後から掛けられた声に身体がビクついて、足がすくみ動けずいると今度は優しいぬくもりに包まれた。
そして、直接甘い声が耳に吹き込まれる。


「……何てな。冗談だ。
お帰り、イヴ。俺の愛しい人。ずっとお前が帰ってくるのを待ってた……。」
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