私と上司の秘密
6 休日 (2)
何となく、憂鬱な気分で、ショッピングモールをあとにした。


「もう、気にしてないから…。」

ていう言葉が、私の口から勝手に出ていた。


ユキとワタルにその言葉を言ってみたものの、
あれは、負け惜しみだったのだろうか…。


『…、いや、本当の事だったかも知れない…。』


以前の私は、きっと、子供だったと思う…。


子供だったに違いない。


私は、ユキとワタルに酷いことをした。


周りも全然、見えてなかった。


…、きっと…。


『あの時、何故、あんな行動をしたのだろうか…。』


今となっては、自分のことだが、分からない。


『…もしかしたら、もしかしたら、少し、
ほんの少し、大人になった今の私なら、
あんなこと、しなかったのだろうか…。』


後悔しても、考えても、あの頃には、
もう戻ることは、出来ない…。


今の私は、自分の事なのに、不思議と、
まるで、他人事のように、もうひとりの私が、過去の自分を見ているようであった。
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