心掻き乱れるほど恋い焦がれて
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「もぅ…どこにやった訳?……翔太のばかぁ…」

私は翔太の部屋の引き出しを開けて、中の物を漁りながらずっと文句を言っている。


妹から借りた漫画を今日返すからテーブルの上に置いていってね、って言ったのに、翔太は約束を守ってくれなくて。
だいたい、俺も読むって言った時に、読みながら煙草を吸わないこと、物を食べないこと、読み終わったらすぐ返すこと、って約束したのに。




「どーこですかぁー。ってかさぁ、翔太片づけくらいしなよね!もぅ!!」

同棲、というものをしているとはいえ、一応はお互いのプライバシーは守っているつもり。
翔太の部屋に入るのは、たいていがそういった目的の時だから、こんな風に引き出しを開けたりしたことなんてなかった。


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