心掻き乱れるほど恋い焦がれて
3



「ただいま」
「おぅ、お帰り。思ったより早かったじゃん」
「うん……翔太ご飯は?食べた?」
「ん?食ってない」
「そうなの?…じゃぁ、なんか作るろうか?」
「え、いいの?」
「うん」
「じゃ、パスタ食いたい」
「了解」

リビングでDVDを見ていたらしい翔太に声を掛けて、そのままキッチンへ。
冷蔵庫の中身を覗きながら、パスタの具材にできそうな物を物色しつつ外へ出していく。




「あ、綾奈タバコ買ってきてくれた?」
「あー、うん。カバンの中入ってるよ。手数料込みで千円ね」
「随分たけぇタバコだなぁ」

軽口を叩きながらも私は頭の中で何パスタにしようかな、とか考えていて、そのカバンの中に押し付けられたソレが入っていることを失念していた。
冷蔵庫をパタン、と閉じて、あったでしょ?と翔太に声を掛けた所で私はハッとする。



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