Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編
変わらない気持ちを




全体朝礼で桃花が自首を勧めたにもかかわらず、大谷は見苦しいまでに罪を認めようとしなかった。その瞳に不穏なものを感じ、大谷が浅井さんに話しかけ2人連れだって出ていくのを見た。


「すみません、今日は浅井さんが3番レジ担当のようです。彼女の動向によくよく注意してください」

『ああ、わかった。大隅も待機しているから、君は思うように動きなさい』


待機中の阿倍野警部に無線で注意を促す。彼は暗殺の犯人を捕まえたことで本来の護衛任務に復帰する予定だったが、オレのたっての願いで職場での犯罪捜査に協力をしてもらっている。


今回は桃花が危険に晒されるかもしれないと話せば、阿倍野警部自ら協力を申し出てくれた。だから、かなり積極的に動いてくれそうだ。


阿倍野警部はよれよれのシャツに白髪混じりのボサボサ短髪。生えっぱなしの髭。冴えない中年のおっちゃんにしか見えない

だが、それこそ彼の狙い。
その格好で大勢の人混みに紛れ込めば、すぐにわからなくなるだろう。


その特性を利用した阿倍野警部から、大谷の身柄を拘束したと聞いたのは昼休みにだった。

< 104 / 391 >

この作品をシェア

pagetop