【完結】遺族の強い希望により
「母は何か隠してる」

短い休息の時を終え、皿を片付けコーヒーを淹れ直して来た玲奈はゆっくりと話し出した。

「私は知らなくて良いって言うの。絶対にお父さんはネットに書かれたみたいな裏切りはしていないから、ただ信じていろって」


玲奈はそう言って、ふうっと長い息を吐き出す。
両手で持ったカップの中の琥珀を冷ますための息なのか、それとも鬱屈した感情が吐き出されたのか。

要するに彼女が信じられないような何か、疑いを持ちざるを得ない何かがあるのだろう。

こんな時なのにただ家族を喪った悲しみに暮れてもいられない彼女が痛々しく、みのりの眉間には無意識の内に深いしわが刻まれた。
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