彼女いない歴が年齢の俺がもうすぐパパになるらしい。
3 --- 同期は美女だが範疇外

(4)同期は美女だが範疇外



「あれ?花嶋先輩じゃないっすか?」


『同期会』の集合場所である池袋で下りて改札を目指して歩いてると。向かいから、スーツをだらしなく着崩した、後輩の山岡が歩いてきた。


「……山岡?おまえ今日、女子大生と合コンじゃなかったのか?」
「今日の合コンの会場、ここなんすよ。俺ちょっと寮に戻っててこれから行くとこで」

そういいながら、山岡は子犬系らしくうれしそうに俺に駆け寄ってくる。

「独身寮って、五反田にあるんだっけか?」
「そうっすよ。たしか花嶋先輩の地元も、どっか地方の方でしたよね?なんで寮入らなかったんすか?……ああ、女の子連れ込めないからに決まってるか!」


勝手にそんな風に思い込んでくれる山岡に、俺は苦笑を返す。


「……俺はどうも、共同生活ってのが苦手だからだよ」

「いや、俺も初めはそう思ってましたけど、住めば都っすよ?月々光熱費込みで家賃たったの1万だし。どうっすか、今からでも入居しませんか?先輩ならめっちゃ歓迎っすよ?」

「いや遠慮しておくよ。どうせ30になったら退寮しなきゃいけないんだろ?」

「あ、そっか。先輩、今年で30でしたもんね」


そんな他愛もないことを話していると、山岡が俺の顔をじっと見て不思議そうな顔になる。


「なんか花嶋先輩、会社にいたときよりイケメン度アップしてません?」



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