孤独女と王子様
★打ち明けた夜~side GOU~
僕は由依ちゃんの寝顔見たさに、彼女が体を横たえるベッドのそばにしゃがんだ。

頭を撫でて"おやすみ、由依ちゃん"と言うと、疲れていたのかすぐに寝息を立て始めた由依ちゃん。

そんな寝顔がたまらなくなり、思わずおでこにキスをしてしまった。

気付かれたかな?
気付かれたいような、そうじゃないような、複雑な気持ち。
だけど、これからどんなことがあろうとも、絶対に由依ちゃんから離れない。

今の僕には"成瀬川"という名前が、すごく邪魔。

その名前がもし、由依ちゃんとの仲を引き裂く原因になるようなら、僕は、こんな環境いらないとさえ思っている。

母子家庭の由依ちゃん。
僕とは間違いなく世界が違うと感じており、きっと今のままでは友達以上には踏み込めない。

そばに極上に美しい花があるのに、手に入れようと腕を伸ばしても、届かない。

それがもの凄く切なくなり、胸を締め付け、気持ちが溢れ、僕は、静かに涙を流した。

泣き虫じゃないはずなのに。
< 90 / 439 >

この作品をシェア

pagetop