アロマティック
ハートノート

はじめての共同作業

 アップテンポのノリのいい音が止まって、休憩に入ると、さすがプロ。ONとOFFを使い分けている。
 さっきまで真剣に踊っていたのが信じられないくらい、思い思いにくつろぎ始めた。
 リーダーは眠そうに、目を閉じてテーブルに突っ伏し、天音は片手に持ったスマホの画面を見て、熱心に指を動かしている。その天音の邪魔をしているのが聖。「聖ちゃん邪魔だよ!」と叱る天音も、まんざら嫌なわけではないらしい。楽しそうにじゃれあっている。
 朝陽だけが、再び荒々しい表情を浮かべて、どこかへかけているのかスマホに耳を当てながら、どこかへ出ていってしまった。

「お。店開いてる」

 肩にフェイスタオルをかけた永遠が、リラックスした様子で長身の体を折り曲げてのぞき込んできた。
 みのりはテーブルの上に並べた、精油、無水エタノール、精製水、スプレーボトル、アロマ基材と永遠を交互に見て笑いかけた。

「アロマスプレー、作ってみない? 簡単にできるから」

「やる」

 みのりのとなりの椅子を引き寄せた永遠が、お互いの足が触れそうなほど近くに座る。

「まず、ベースの精油選ぶね」

 みのりは、目の前に並べた精油の中から、ラベンダーとラベンサラを取り分ける。

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