気づけばキミと恋に落ちて
偽恋人になりました…
***


「うぅ……」


今、わたしがいる場所は自宅のベッドの上。


ベッドの中で、さっきあった出来事を思い出しては、こうやって声にならない声を出している。


結局わたしは、なにも答えられず黙り込んだ。


そんなわたしの手を拓篤は、そっと握ると〝送る〟と、ただ一言そう言ってあの一軒家を出た。


「あれ?今日は、早いのな?」という拓篤のお友達の言葉に、わたしの胸がモヤッとしたけど拓篤はいたって普通。


「部屋、悪かったな。助かった。んじゃ、またな」


ただそれだけ言うと、わたしの手を繋いだまま自宅まで送ってくれた。


さすがに毎回送ってもらうのはワルイと思って、断ったんだけど「なに言ってんだよ。今日からオレのオンナだろ?」なんて言ってきて、わたしの顔は熱くなる。


結局、自宅まで送ってもらいお別れする時の拓篤の行動に、わたしの思考が完全にストップした。
< 237 / 380 >

この作品をシェア

pagetop