Sweet Lover
35.Sweet Lover
「サイアクっ。
 何、それ」

ゴールデンウィークの明けた5月6日の朝。

来月からアメリカで暮らすと告げた私に、梨音は頬を膨らませた。

「でも――。
 そしたら、もう、梨音が誰かに付き纏われることも無いし」

ほっとして欲しくてそう言ったのに、梨音が唇を尖らせたので、私はとても驚いてそう付け加えた。

「何、まだアイツのこと気にしてるの?
 あれは、真朝のせいじゃないし――。
 仮に真朝のせいでも、全然構わないのに。
 あんなことで、楽しい毎日が消えちゃうなんて、私、納得行かないわっ」

今から須藤 響哉のところに乗り込んでやる、と、学校を早退しようとする梨音を、強引に引っ張って保健室に連れて行く。
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