少しずつ、見えるミライ
少しずつ、見える未来



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修ちゃんはそれから、時折、メールをくれるようになった。

だからと言って、この前の答えを急かす訳でもなく、しつこく愛を語るでもない。

送って来るのは、いつも他愛ない内容のシンプルなメール。

それが逆に大人の余裕を感じさせ、修ちゃんのイイ男ぶりを上げている気がする。



朝陽には、これと言って大きな変化はない。

相変わらず、自分の気持ちに正直に、これでもか!、ってほどの愛情を注いでくれる。

私にはそれが愛しいし、そんな彼を守ってあげたいと思う気持ちにも、やっぱり変わりはない。



まるで正反対な二人に挟まれていると、どうしても気持ちは揺れる。

朝陽と一緒にいると心に決めたものの、前よりも素直な気持ちを見せてくれるようになった修ちゃんは、やっぱり魅力的だ。



朝陽に悪いと思いつつ、あの後、もう一度、修ちゃんと食事をした。

その時、修ちゃんは、お店から駅までの帰り道、とても自然に私の手を取り、恋人繋ぎにしていた。

最初に待ち合わせた時は、無意識に出した手を、遠慮がちにパっと引っ込めていたのに。



驚いたけど、そのままにしておいたら、修ちゃんはとても嬉しそうにしていた。

そういう可愛さを見せられたら、どうしてもキュンとしてしまう。

元は夫婦な訳だし、修ちゃんのほんの少しの勇気で、二人の距離も、あっという間に縮まる気がする。
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