課長さんはイジワル
第273話 NY&東京披露宴
そして、あっと言う間の1年。

まずは、NYでお披露目スタート。

あの黄色いドレスの女性が、私達の幸せそうな姿を悔しそうにハンカチを噛みながら見ているとき、KY横田が「あれ?佐久間主任と付き合ってたんじゃなかったの?」なんて相変わらずKYなことを言っては、佐久間主任にエルボーを食らう。

そして、東京での挙式披露宴。

見た目ヤクザか証券マンかってくらいコワモテの社員の風情に、高校大学時代からの私の旧友達が震え上がる。

まぁ、鉄火場気質だからね、証券マンって……。

押尾ディーラー作の梅酒入り15階建てシャンパンタワーが、

「あいつ、仕事は出来ないけど、こういうのはすごいよな……」

なんて、大好評を博していた頃、課長と私が披露宴会場に入る。


わぁっ!と歓声が上がる。


「きれ~~い」

「可愛らしい花嫁さんね」

「孫にも衣装~」(←ん?誰じゃ?)

あちこちから賛辞の声が飛んで、嬉しい。


でも、何よりも一番嬉しいのは、課長の嬉しそうな顔。


時折見つめ合う私達に容赦ないやっかみの声なんかも飛ぶ中、平井堅も真っ青なハイトーンで「乾杯(別名:完敗)」を熱唱する佐久間主任に、会場の乙女達のハートがさらわれ、男たちの恨みを増幅させる。


お見事です、佐久間主任!

こうして、敵を作ってきたのね……。

拍手をしながら、佐久間主任の実力に感心する。


ともあれ、披露宴は大盛況のもと、無事に終わる。

「なんか……疲れましたね」

東京での式も終わり、太っ腹町への移動中の新幹線の中で、課長の腕にもたれかかってそのままウトウトする私に、課長のキスが降りてくる。


「お休み、奥さん」


低音の美声を遠くに聞きながら、ふにゃふにゃ~と幸せ気分で寝落ちする。





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