クールな先輩の心を奪う方法

４．彼と彼女の関係は？…狂い始めた歯車

今日は、朝からバタバタと、自分の仕事をしながら、他の部署への応援に借り出され、自分のオフィスに戻って来たのは、午後8時。

…はぁ。
まだ、仕事が終わりそうにない。
そう溜息をついた時だった。

オフィスの奥の角。
丁度死角になる所にコピー機がある。
そこから、男女の声が聞こえてきた。

まだ、誰かいたんだな。そんな軽い気持ちでデスクに座ると、また、仕事を始めた。

「離してください！」
突然の女の大声に、なんだかただならぬ空気を感じた私は、咄嗟にしゃがみ込み、身を潜めた。

…何で隠れちゃうかな。
立ち上がろうとするも、立ち上がれなかった。

目だけを声のする方に向けた私。
その視界に捉えた2人の顔。

…大地と、…梓だった。
どうして2人が？
理解出来なくて、デスクを掴む手が、震えた。

「…好きなら、ちゃんと言えよ。言わないとわからない」
大地が梓の手を握りしめたまま言った。