もしも私がーcasket in cremtion。
洞窟にて

「立花圭子を、〝GET来来〟を探せ!」

 猛スピードで走りながら、幟呉が指示を下す。

「おう!」

「りょぉかい!」

 そう二人は答えて、散り散りになろうと、靭がふと視線を横にずらした時、派手な看板が目に飛び込んで来た。黄色と白の枠の中、パンダの絵が、その文字を読み上げている。
〝GET!来来!〟と。

「あった!」

 靭は思わず声を上げた。
 それを聞くと、幟呉と永璃は靭の方を振返る。
 三人の目が合い、お互いに頷くと、靭はその場から姿を消した。

 時を同じくして、三人の目的の立花圭子は、まさしく今、GET来来の定員用のロッカールームで着替えをしている最中だった。
 女性の記憶力は正しかったわけだが、それはさて置き、幟呉と永璃は店へ入店した。

「いらっしゃいませ。二名様ですか?」

 定員の問いに答えずに、辺りを見回しながらずかずかと奥へと進んで行く。

「あの、お客様?」

 不信がって止めようとする定員を幟呉は無視し、一人一人の顔を確認して行く。

「あの!」

 それでも止めようとする定員に、永璃が振り向きざまに言う。

「ああ、人探してんだ。待ち合わせしててね。」

 その言葉を聞いて、定員は「そうですか。」と少し安心したように呟いた。
 一方靭は、乗務員用の出入り口(裏口)から店へ入り、調理場を堂々と徘徊していた。

「キミ!勝手に入って来られたら困るよ!」

 後ろから強い口調で注意され、靭はコックに腕を掴まれた。
 その手を軽くいなして取って、靭は悪びれた様子もなく

「ねえ、そんな事よりさ、立花圭子……この子知らない?」と言って写真を見せた。

「あれ?」

 コックが顔をしかめた。
 その頃

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