本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
再会30分後   side小牧
杏奈が美和とかいう女と店を出ると俺は空気の抜けた風船のように
その場にしゃがみ込んだ。
「何であんな言い方しか出来なかったんだよ!」
心の中では半泣きだ。

だが10年ぶりに会った忘れられない女性は
俺に偽名を使った。

カンナだよ。何かのマンガにも同じそんな名前の女がいたな・・・

こっちはずっと忘れられなくって
10年間モヤモヤ生活を送ってきた。
偶然の再会に緊張してなかなか杏奈に話しかけられなくて
気がつきゃ連れの女にばっかり話しかけて・・・
自分でも情けないってわかってたけど認めるよ。
俺は高校生から何の進歩も成長もしてない。

それに本当はあんな乱暴なキスをするつもりなんかなかった。
こっぴどく振られた・・・なんていったけど
それだって勢いであんな事言ってしまった。
正式なお別れなんかしてないのに・・・

でもなんであそこまで嫌われなきゃならないんだ。
偽名を使ってまで俺との事を消したいとでも思ったのか?
振られたのは俺の方なのに・・・
そう言えば
振ったのは俺みたいな事言ってたな・・・

「よく言うよ。つっちーといい仲だったくせに・・・」

あの時の光景を思い出すと今だにしかめっ面になる。
吐き捨てるように呟くが、それでも
杏奈に会えたことはうれしかった。
ポケットからスマホを取り出すと小さな溜息が洩れる。

「電話来るかな・・・」
あんなに上から目線で乱暴な口調で
電話番号を無理やり登録しちゃったけど
正直自信がなかった。
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