罰ゲームでヤンキー君に告白されました。
さよなら



彼のプレゼントに何をあげよう。
一緒に過ごそうと誘われてから、私はずっと悩んでいた。


龍也君の誕生日は水曜日。
一日遊ぶのは無理なので、授業が終わってから放課後会う約束になっていた。


教室で待っていると、いつものように龍也君が迎えに来る。


「ねぇ、ハル……」


そのことを知っていたえみは一日中落ち着かなそうにしていた。
いよいよ龍也君が来ると、怒ったような心配そうな複雑な顔つきで私を見る。


「ハル、やっぱり私黙ってられないんだけど」

「大丈夫。ちゃんと言うから」



龍也君は相変わらず目立っている。


彼が教室の後ろで私を待っている姿も、見るのは今日で最後になるだろう。
そう思うとまた胸が苦しくなった。


学校を出ると、ちらちら雪が降っているのに気づく。

積もるほどではないけれど、空気は澄み切って凍てつくような寒さだった。


「うわ、雪降ってやんの。通りで寒いわけだ」

「明日は晴れるといいね」


二人で並んで、白く染まっていく街を歩く。
寒いけれどきれいで、雪もたまには悪くないような気がした。


「寒いなー」

「冬だからね」

「はやく春になってほしいぜ、ほんとに」

「そうだね。私も春生まれだし、春が一番好きだな」


そう答えると、龍也君は目を細めてやわらかく微笑んだ。

「あぁ、そうか。ひなに似合うな」



その笑顔に、胸がきゅっと苦しくなる。



……きっと、全部。
今日でおしまい。


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