先生とシンデレラ
ミスコン*最終審査* 心の準備
次の日のホームルーム。
隣の席には不機嫌きまわりない三浦君と、目の前の黒板には真ん中に大きな線が引かれていてその両端に、先生の綺麗な字で大きく書かれた、シンデレラ、と源氏物語の文字。
もちろん
シンデレラ:長谷川羅々
光源氏:三浦優希
と書いてある。
先生はそれぞれの所に然るべき配役の名前を書いたあと、私たちの方に振り返って、
「…じゃあ、決めるよ。」
と言った。
「…クラス全員が出なきゃいけないから、それぞれの劇に平等に数が回る様に、配役削ったからね。」
周りのクラスメイトのざわざわが一層大きくなる。
「…じゃあ、まずは源氏物語ね。」
三浦君が隣で、うっ、と言った。
そんな三浦君の様子を知ってか知らずかせんせいは気にも止めない様子で
「…桐壺と若紫は、同一人物ね。あとは、葵の上と六条の御息所と桐壺帝と頭の中将ぐらいかな」
先生はそこまで言ってから、手元にあった紙を見てうん、と頷いて
「やりたい人」
と言った。
…この状況で手が挙げられる人がいたら、勇者だと思う。
先生はため息をついてから、
「…何。みんなやりたくないの」
ますます静かになったクラスの中を、先生は見おろして
「…じゃあ、先生が決めるよ。」
「…良いんだね」
「文句、言わないでね。やるからにはちゃんとやってもらうから。」
先生の目線に思わず息を飲む。
「…セリフ覚えてこなかったら、覚えるまでどれだけかかっても、泣いても、帰さないからね。」
…
思わず手元にあった、シンデレラ、と書かれた台本を苦い思いで見つめる。
「…じゃあ、発表するよ。ま、先生、最初からその子にするつもりだったんだけどね。」
…なにそれ。
だったら、最初から聞かなきゃよかったのに。
クラス全員が思った事だった。
でも、それを言葉にした所でどうにもならないので黙って先生の言葉の続きを待つ。
「…桐壺と若紫は、日比谷華」
え。
華ちゃん?
隣の三浦君も驚いた様子で私とほぼ同時に前の方にいる華ちゃんを見ると。
華ちゃんは席に座って頬ずえを吐いて冷たい目で先生を見ていた。
隣の席には不機嫌きまわりない三浦君と、目の前の黒板には真ん中に大きな線が引かれていてその両端に、先生の綺麗な字で大きく書かれた、シンデレラ、と源氏物語の文字。
もちろん
シンデレラ:長谷川羅々
光源氏:三浦優希
と書いてある。
先生はそれぞれの所に然るべき配役の名前を書いたあと、私たちの方に振り返って、
「…じゃあ、決めるよ。」
と言った。
「…クラス全員が出なきゃいけないから、それぞれの劇に平等に数が回る様に、配役削ったからね。」
周りのクラスメイトのざわざわが一層大きくなる。
「…じゃあ、まずは源氏物語ね。」
三浦君が隣で、うっ、と言った。
そんな三浦君の様子を知ってか知らずかせんせいは気にも止めない様子で
「…桐壺と若紫は、同一人物ね。あとは、葵の上と六条の御息所と桐壺帝と頭の中将ぐらいかな」
先生はそこまで言ってから、手元にあった紙を見てうん、と頷いて
「やりたい人」
と言った。
…この状況で手が挙げられる人がいたら、勇者だと思う。
先生はため息をついてから、
「…何。みんなやりたくないの」
ますます静かになったクラスの中を、先生は見おろして
「…じゃあ、先生が決めるよ。」
「…良いんだね」
「文句、言わないでね。やるからにはちゃんとやってもらうから。」
先生の目線に思わず息を飲む。
「…セリフ覚えてこなかったら、覚えるまでどれだけかかっても、泣いても、帰さないからね。」
…
思わず手元にあった、シンデレラ、と書かれた台本を苦い思いで見つめる。
「…じゃあ、発表するよ。ま、先生、最初からその子にするつもりだったんだけどね。」
…なにそれ。
だったら、最初から聞かなきゃよかったのに。
クラス全員が思った事だった。
でも、それを言葉にした所でどうにもならないので黙って先生の言葉の続きを待つ。
「…桐壺と若紫は、日比谷華」
え。
華ちゃん?
隣の三浦君も驚いた様子で私とほぼ同時に前の方にいる華ちゃんを見ると。
華ちゃんは席に座って頬ずえを吐いて冷たい目で先生を見ていた。