夏のわすれもの
Chapter1*君は見合い相手*
その日、俺は幼なじみである陣内龍平(ジンナイリュウヘイ)のじいさんに呼ばれた。

一体、何の用なのだろうか?

用事があるなら陣内本人を呼べばいいのに…と思いながら、俺は自分の家の前に車を止めた。

陣内に直接話すことができない話なのだろうか?

相変わらずのデカい屋敷を見ながら、俺は思った。

屋敷に入ると俺を迎えてくれたのは、陣内家の執事の奥田さんだった。

長い間陣内家に仕えてきただけのことはある。

屋敷同様、相変わらずの貫禄ぶりだ。

彼に案内されるように、俺は陣内のじいさんが待つリビングへと足を向かわせた。

「失礼します」

そこに入ると、年齢を感じさせないその人物がいた。

彼こそが、陣内のじいさんである陣内龍太郎(ジンナイリュウタロウ)会長だ。
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