異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
第17関門~愛しいひとって、なんでしょう?






「やあ、ずいぶんと楽しそうだね」


深刻になりそうだったティータイムにその人が現れたのはずいぶんと唐突で、何の先触れもなくやって来た。


銀色の短い髪の毛と同じ色の髭を口元にたくわえ、ローブのようなゆったりした白い服を着てる。裾に金糸の刺繍が施され、かなり上質な布と仕立てのそれだけでかなりの身分の高さが窺い知れた。


男性としては背がそれほど高くなく、中肉中背で年齢は40半ば辺りに見える。スーツを着れば人のいいサラリーマンといった優しげな雰囲気を纏っていたけれど。


「へ、陛下!」


まず、動いたのはライベルト。彼はその場で膝を着き、頭を下げる。ユズさんやキキさんもすぐに彼に倣う。チラッと見遣れば、セリナ以外のセイレム王国の人はすべて膝をついている。


王妃であるセリナ以外に陛下、と呼ばれるこの国の人はただ一人しかいない。国王陛下その方だ。


それにやっと気づいたあたしは、慌てて椅子から下りて頭を下げた。


「ああ、そのようにかしこまらなくていい。ガマンしきれず突然現れた私が悪いのだからね」


軽く手を挙げたハロルド国王陛下は、にこやかにあたし達に立つようにと促す。お言葉に甘えて椅子に座る前に、彼に席を譲った。セリナの夫である国王陛下なら、その隣がふさわしいと思ったからだけど。


「ありがとう、和さん」


国王陛下直々にお礼をいただけるなんて思わなくて、なんだか恥ずかしくなった。


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