LOZELO
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1.ワタシハダレ?
ロングホームルームという、一番だるい時間に担任が持ってきたのは、5月の体育祭の出場種目を決めろという、どーでもいい話し合いだった。
一人一種目は必ず出場すること、と簡単に言う担任に腹を立てても、なにも解決しないのは知ってる。
友達と話し合ってもいいですよーという、通らない声と同時にガヤガヤし始めた教室。
私の肩に飛んできた重みは、香水の匂いと共に存在を突きつけてくる。
「紗菜、何にする?」
「楽なやつ」
「えー?そんなのないよー」
極力面倒なものは避けたい。
誰かと協力するとか。
恥をさらすとか。
隣では女子たちが集まって、障害物競争やら玉入れの話をしている。
「あ、玉入れとかどう?」
「却下」
「じゃー、障害物競争!」
「死んでもやらない。私そういうときの運、死ぬほど悪いから」
「もー、紗菜のわがままー」
というか、体育祭という行事自体要らない。
仲間同士の絆を深めようとか、思い出作りとか。
無理矢理決められた行事こなして、それが思い出になるとか、なにそれ。
学生の本分は勉強でしょ。
無論、私には勉強すら必要ない。
よって学校に通う意味もなし。
だったらどうして、学校なんて通ってんだろう。
って話だけど。
「じゃあ、長距離は?去年一位だったじゃん!」
そうだったっけ。
あの頃は、まだバリバリの現役だったからなぁ。
「きっとまだ走れるんじゃない?」
無理だよ莉乃。
運動もしてない体は、筋力も落ちて持久力なんて相当落ちてる。
経験者の勘なのか。
確たる事実なのか。
わからないけど、何となく、そう感じてる。