さよならさえ、嘘だというのなら
血の滴


凪子の家は代々続く財閥の家で
生まれた時から
何不自由なく双子の兄妹は育った。

そのすぐ下に
弟もいて
両親は世界中を仕事だ遊びだと、飛び回っていたけれど
兄と弟と凪子は
特に寂しさも感じず
仲良く過ごしていた。

凪子も子供の頃は普通の女の子で友達も多く
習い事もこなし
毎日が楽しかったようだけど

小学校高学年くらいから
少しずつ
何かが壊れてゆく予感があったそうだ。

大切にしていたぬいぐるみが切り刻まれてたり
本が破られてたり
ピアノの発表会で着るドレスが油性マジックでらくがきされてたり

悲しい出来事が多くなる。

それだけならいいけれど

飼っていたハムスターの両手足が切断され
仲良しの友達が歩道橋の階段から突き落とされ
凪子が友達の悪口をSNSで発進してる噂が流れたり

自分の周りの全てが
狂い壊されいった。

「大丈夫だよ。僕がいるからね」

頭が良くて
誰からも好かれる双子の兄は凪子の自慢で支えだった。

でも
全ては
この兄が企み

自分の妹を彼は支配しようとしていた。


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