いたずらヒーロー。
タイトル未編集
「また、やられたの?」


 幼なじみのゆうちゃんが、半ば呆れたような顔をして、深いため息を零した。


 わたしの上靴が無くなった。


 探しても探しても本鈴に間に合わなくて、結局みんなと違う、学校のスリッパで校内を歩くことが、全然慣れずに恥ずかしくて、わたしは嫌だった。


 ……他にも、物がなくなることは多々あったけれど、犯人は不明なままだった。


 クラスでも問題になって、担任の先生が全体に注意を促してくれたけれど、結局犯人も現れず、いたずらも止まなかった。


 ……でも、そんな時必ず現れる救世主がいる。


「立花さん!」


 同じクラスの学級委員長、成瀬くんだ。


 成瀬くんは、靴箱を覗き込んで項垂れるわたしの元へ、ボロボロに汚れた格好で現れた。


 その手には、つま先が赤色で、わたしの名前が書いた上靴があった。


「成瀬くん、……それ……。」


 わたしがそれを指差すと、成瀬くんはまるで太陽みたいに輝かしい笑顔を見せた。


「うん!見つけた、裏庭に落ちてたよ。」


 成瀬くんはいつもこうやって、……ヒーローみたいに困ったわたしの元へ現れる。


 この間、調理実習のエプロンが無くなった時も、水着が無くなっちゃった時も、……成瀬くんはこうやって、ボロボロになりながら探してきてくれた。
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