先生とシンデレラ
ミスコン*最終審査*

ミスコン*最終審査*

浅く深呼吸をして。

先生がいる教室のドアを開ける。

先生はいつもの様に教卓に座って何か書類を書いていて。

でも私が教室に入って来たのを確認すると、持っていたペンをゆっくりと書類の上に置いてから。

笑顔で、おはよう、と言った。

自分の席を目指しながら、私も
「おはようございます。」
と返す。

私が自分の席に持っていた鞄を置いて座ろうとすると。

「…羅々。こっち、おいで。」

手招きされて。

特に断る理由もなかったので、疑問に思いながらも教卓の前まで歩いていく。

先生はほおずえをつきながら。

「…羅々。今日まで三ヶ月間。本当によく頑張ったね。」

その言葉に、自然と背筋が伸びる。

「最初、羅々がミスコンを断った時は本当にどうしようと思ったよ。」

「…すいません。」

私が少し笑いながら言うと、先生も笑い返してくれて。

「羅々が頑張る姿を見て、先生も仕事とか、それ以外の事も頑張れてたんだよ。羅々は最初いろいろ言うのに、結局最後はいつもきちんと準備してきたからね。」

先生の一言一言

「…そこが、羅々の良い所だっていつも思ってたよ。」

全て聞き逃さないように。

「いつも、その姿を尊敬しながら見てた。」

その言葉に。

何も言えない私を見て笑いながら。

「…緊張してるの。」

私はぎゅっと自分の手を握りしめながら。

「…そりゃ、そうですよ…」

私がそう言うと。

先生は笑いながら教卓の前に乗り出して私の手を握る。

「…大丈夫。羅々が頑張ってきたのは、先生が一番良く知ってる。」

その言葉に。

その、私の手を握る力強さに。

私もほほ笑んだ。
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