カムフラージュの恋人
もうフリは終わり (最終話)
そんなわけで、雅彦にほぼ強引に引き留められた私は、二宮くんとバイバイすると、また席へ戻った。

だけど、さっき座っていたところじゃなくて、今度は、雅彦を始めとしたパティシエがよく見える、厨房の近く。
これもなぜか、雅彦の「命令」で・・・。

一体なんなのよ?これは!
私を監視するつもり!?
でも、当の雅彦は、私を「監視」するどころか、全然こっち見ようともしないし。

フゥとため息をついたとき、雅彦が紅茶とゴマサブレを持ってきてくれた。

「ほら。紅茶も含めて俺の奢りだ」
「・・・ありがと」
「なんかおまえ、チュイルよりサブレ食べたそーな顔してたからな」
「なにそれ。よく分かんないんだけど。でもサブレ食べたいって思ったよ」
「おまえがそれ食べてる間に、俺は上がりの準備してくる」
「うん」

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