【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
01.触れて溶ける熱



「暑い……」



──ぽつりと、言葉をこぼし、空を見上げて太陽のまぶしさに目を細める。

日差しが強い。こんなことなら日焼け止めを塗っておくんだった。



病院の中が快適だったからこそ、余計に外が暑くて。そういえばさっき、乃唯の病室にあったテレビで、猛暑だとかなんとか言ってた気がする。



数年ぶりの暑さとか、言ってたもんなぁ。



「……どうしましょうか」



勢いで出てきてしまったから、今さら岬のところへ戻れない。



だからといって、ここでぼーっとしていたら病院の目の前にいるのに、熱中症で中へ後戻りだ。




「……飲み物でも、買おうかしら」



そのまま、病院に隣接されているコンビニに入る。エアコンが利いているのか、かなり涼しい。



ストレートティーのペットボトルを手に取って、お金を払うと外に出る。



買ったばかりのそれで喉を潤わせると、ほんのすこし生き返った気分になった。──大袈裟ね。生き返った、なんて。



「そもそも、生きてるのに」



ぽつりとつぶやいたそれは、蝉の鳴き声がうるさい真夏の世界に溶けていく。



生きてるんだから、生き返るも何もない。



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