「恋って、認めて。先生」
11 壊れたネックレス


「飛星ー!お疲れ〜!」
「エモ!純菜も!」

 待ち合わせた駅の改札を抜けてすぐ、エモが元気に手を振ってきた。その横で純菜も、小さく手を振っている。

「ごめんね、待った?」
「大丈夫!私達もさっき来たばっかりだから。行こっ」

 エモは明るく先導を切った。私と純菜はそれについていく。


 合コン開始まではまだ時間があったけど、約束していた店の前に着くと、すでに何人かの参加者が到着していた。この合コンを持ちかけたエモの職場の先輩の女性や、男性陣が何人か。

「今日はよろしくね〜!」

 見知らぬ男性達をはじめ、エモの先輩が私達に向け気さくに声をかけてくれた。

「初めまして!純菜ちゃんと飛星ちゃんだよね。一応エモの上司してるアミです!って言っても二個しか違わないし、気遣わず仲良くしてね。今日は来てくれて本当にありがとう!」

 エモの先輩改めアミさんは、アパレルショップ店員になって7年目だと言い、人好きのする笑みを見せて私と純菜に軽くハグした。とってもフレンドリーな人らしい。

「今日はよろしくお願いします」

 照れつつも、アミさんのおかげで純菜と私はリラックスすることが出来た。

「アミ先輩、オシャレで綺麗だよねっ。私もあんな店員になりたいんだ!」

 エモがそう言った。純菜は穏やかにうなずき、男性陣の輪に挨拶しているアミさんに好意的な眼差しを向ける。

「うん、アミさんとっても綺麗な人だね。でも、エモちゃんも可愛いと思うよ」
「純菜ちゃん、もっと言って!?」

 和やかにそんなやり取りをする二人を横目に、私は疑問を持った。見た目パーフェクトで性格までいい、そんなアミさんが頑張ってもなびかない男性ってどんな人なんだろう?合コンまでしないと会ってくれないなんて、その人は普段よほど多忙なのかな。

「アミ先輩の好きな人、まだ来てないっぽいね。どんな人なのか、私もまだ知らないんだ〜」

 エモがもどかしそうに言った。

「写真持ってるみたいなんだけど、どれだけ頼んでも絶対見せてくれないんだよね〜、アミ先輩」
「この合コンはアミさんのために開かれたんだもんね。そう言われると私も気になるなぁ」

 純菜はアミさんをチラッと見て、エモに尋ねた。

「あの男の人達って皆、アミさんの知り合いなんだよね?」
「そうらしいよ。中学とか高校の同級生と、その友達。皆私達より年上だけどね。何?もしかして純菜ちゃん、あの中に好みの人がいたとか!?」
「ううん、そういうわけじゃないけど……」
< 160 / 233 >

この作品をシェア

pagetop