私の師匠は沖田総司です【下】
師匠、私は大丈夫です

それから数日、艶子さんから陰湿なイジメを受けるようになりました。

「蒼蝶さ~ん、これやっといて」

「はい……」

猫なで声の艶子さんから籠一杯の洗濯物を受け取る。

別に洗濯をやるのは構わない。艶子さんが来る前は殆ど一人でやっていましたから。

一人で黙々と洗濯物を洗っていき、後少しで全部終わるという頃

「あ、かんにんえ~」

艶子さんに洗ったばかりの洗濯物が入った籠をひっくり返される。

洗った物全部に泥がつきました。

洗濯物についた泥は本当に落ちにくい。通常の2倍以上の時間と体力を使います。

「これ、追加な」

そしてさらに追い打ちをかけるように、新たに洗濯物を追加される。

艶子さんは仕事を増やすだけ増やしてどこかへ行ってしまいました。

文句を言いたくても、新選組の皆さんへの被害を考えたらグッと言葉を飲み込むしかありません。

「よしっ」

気合を入れて再び洗濯を始める。

辺りに雪が積もり、おまけに雪が降る中の洗濯は大変ですが、やらないと終わらない。

外気の寒さと水の冷たさでかじかむ手を必死に動かして洗濯を続けていく。
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