シンデレラに恋のカクテル・マジック
エピローグ
 それから祖父に請われて、菜々と永輝、健太の四人で夕食をとった後、菜々たち三人は新幹線で東京を発った。健太は帰りの新幹線の中で熱心にノートパソコンのキーボードを叩いていたが、新大阪駅に着くやいなや、大学院の研究室に戻ると言い出した。

「いやあ、永輝のおかげで有意義な取材ができたよ。今すぐ論文の執筆に取りかかりたいんだ」

 そう言って健太は笑ったが、ふと真顔になって永輝を見た。

「永輝が東京まで女の子を追いかけていくなんてなぁ。菜々ちゃんは本物ってことか」

 健太がささやき、永輝が照れたように笑った。

「前からそう言ってるだろ」
「そうだったな。じゃあ、お邪魔虫は早々に消えるよ。それじゃ」

 健太はそう言うと、片手をあげて改札口を出ていった。菜々と永輝はそのままJRの在来線ホームに下り、快速に乗った。永輝のマンションの最寄り駅で電車を降りると、エアコンで冷えた体に外気が生ぬるく感じる。

「またここに来られるなんて思わなかったな……」

 菜々がぽつりと言うと、隣を歩いていた永輝が菜々の顔を覗き込んだ。

「俺が本気で浮気をしたって信じたんだ?」
「だって……」
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