螺旋上の赤
第4章  月の砂漠に遺言を
第4章  月の砂漠に遺言を


ガサガサ……

ガサガサ……

橋の下に誰が居るのか。
真偽を確かめるべく、河原に降りてきた。

(う〜こわぁ……暗いし、なんか凄い音がする……。)

葦がうっそうと生い茂っていて、一寸先も見えない。

ガサガサ……

ジャブジャブ……

(うわぁ…くるぶしまで位しかないけど、冷たぁ!
せっかく靴洗ったのになぁ。)

音がする方へ少しずつ、少しずつ近づいていく。

ガサガサ……

ガサガサ……

これで危険極まりない浮浪者さんとか、密猟者とか、ヤクザとかだったら命はない。
さらわれて、あれこれされて、川に捨てられ流されて、海とかで無惨な姿で発見されてしまうんだろう。
海ででも見つかればまだ良い方か。
宇宙人とかだったら、月とかに捨てられてNASAの人に発見されるかもしれない。
そんな事になったら『——花奈、レポート本当にありがとう。』と月の砂漠に書き遺そう。

ガサガサッ!!!!

(ひっ!!)

目の前にうすら高い影が立ちはだかった。
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