螺旋上の赤
第7章  教えて
第7章  教えて


ゴシゴシ……

ゴシゴシ……

何してるかって?靴洗ってるんですよ。
身だしなみには殆ど無頓着なんだけど、昔から何故か足元だけは気になるタチである。
色や型とかはどうでも良いんだけど、靴の汚れだけは何か気になるの。

「凛、寒い!入れてくれ!」

ゴシゴシ……。
靴が綺麗だと気分もサッパリするよね。
部屋の中がメチャメチャでも、白のパーカーが若干黒ずんでいても、足元さえ綺麗なら凄く爽やかな気分になれる。

「なぁ、頼むから開けてくれ!寒いって、ホントに!」

ゴシゴシ……
泥ってなかなか落ちないんだよね。

アパートのドアの外で裸足の有が私に助けを求めている。
周りを気にしながら、小声で叫ぶという器用な真似をして。
でも、そんなことよりもこっちの方が気になって仕方ない。
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