過去恋に今の鼓動を重ねたら
過去と今のジレンマ
♪~♪~♪

真島くんに電話番号を送った5分後にスマホが着信を知らせる。そこには昨日登録した「真島くん」の文字が映し出されていた。


「はい」


高鳴る鼓動を隠すように低い声で出る。


「あれ?河原って、そんな声が低い?具合でも悪い?」


意識し過ぎたかな?低すぎたようで、逆に不自然に思われたようだ。


「ううん、元気だし、そんなに低くないと思うよ」


「ほんとだ、いつもの声だ」


いつもの声って、昨日と今日しか話していない。10年前の声を覚えているとは思えないし。それでもよく知っているように言われるのが、何となく嬉しくなった。


「クスッ。真島くんは昔よりも低くなったよね」


あの頃ももう声変わりが終わっていて、低い声だったけど、それよりも大人の低い声に変わっていた。


「そうなのかなー、自分ではよく分からないよ。河原はさ、変わってないように最初思ったけど、今日まじまじと見たら、ちゃんと大人のお姉さんになってるよね」
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