君と奏でるノクターン
4章/踊らない心

1話/とめどない渇き

マイスター「ジョルジュ」の後押しで、演奏契約をした管弦楽団。

楽団員の前で披露した詩月の演奏に、耳を疑った。

ピアニスト周桜宗月の息子という、ネームバリューだけの若造だと軽視していた楽団員。

彼らはNフィルでの評判やケルントナー通りでの演奏も、親の七光りだとしか思っていなかった。

経験豊かなマイスター「ジョルジュ」が認めた実力。

その演奏を目の当たりにし、彼らは否応なしに詩月の実力を認めざるを得なかった。


「詩月。早速、明日から総練習に参加し大晦日の公演に、独奏パートを弾いてくれ」

楽団員は誰1人として、異を唱える者はいない。

詩月はNフィルの時とは大違いだと思いながら、楽団との挨拶を交わした。


ジョルジュと分かれ、駅へ向かう途中。
雪道をミヒャエルが1人、歩いてくるのが見える。
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