気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
第四章 クール・ビューティの化けの皮
 翌朝目を覚ました凜香は、自分が昨晩、作業用デスクに突っ伏して寝てしまったことに気づいた。

「あちゃー。夢中で作ってたからなぁ……」

 昨日、透也のマンションから戻ってすぐに取りかかったおかげで、目の前には手のひらサイズのかわいらしい風車が出来上がっていた。プラスチック製のプロペラで受けた風の力を利用して、赤い屋根の風車小屋が音楽を奏でる仕組みの電子オルゴールだ。

「成実(なるみ)ちゃん、喜んでくれるかな」

 凜香はワクワクしながらその手のひらサイズの風車型のオルゴールを木箱に入れた。壊れないように隙間に丸めた新聞紙を詰める。それから寝る前に下味をつけておいた唐揚げとフライドポテトを揚げて弁当箱に詰め、お気に入りの花柄のリュックサックに入れた。

 それが済むとシャワーを浴びて、ブランドのロゴ入りのスポーツTシャツとピンクのハーフパンツに着替えた。これから汗をかく前提なので、メイクは必要最低限、ロングヘアもポニーテールにした。

(こんな格好、会社の人には見せられないわ)

 リュックサックを背負い、昨日買ったお土産の紙袋を持って、いざ出発。
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