ご懐妊は突然に【番外編】
そしてそれから
そしてそれから7年後―――

爽やかな初夏の風に吹かれながら、新緑に囲まれたテラスでハイティーを楽しむ。

木製のテーブルには花柄のテーブルクロスがかけられており、その上にケーキスタンドが置かれた。

一番下がサンドイッチ、そして真ん中にはプチケーキ、一番上にはスコーンが載せらていて、とても美味しそう。

美しい執事がカップとソーサーを並べて、優雅な仕草で紅茶を注いでくれた。

「ありがとう、ユウキ」

燁子さんは二コリと笑い掛ける。

「ごゆっくり。何かありましたらお申し付けください」

花のように執事は微笑むとテラスを後にした。

本日は葛城邸で、燁子さんと女子会だ。

現在匠さんのご両親は海外で生活しているので、代わりに葛城邸には燁子さんとその旦那さんが住んでいる。

私は一口お茶を飲む。

紅茶だと思っていたけど、なんだか変わった香りがした。

「これ何のお茶?」

「ルイボスティーだよ」

ノンカフェインなんだ、と言って燁子さんはニコリと笑う。

ハイティーには普通紅茶なんじゃ…と思いつつも、飲めない事もないので、そうなんだ、とだけ相槌をうつ。

「最近、カフェインは控えてるから!」

燁子さんはドヤ顔だ。

「あらあ、もしかして…」

私はハッと目を見開いた。

「アンチエイジング?」

私の質問に燁子さんはずっこけた。

「違うよ、遥さん。私ね、赤ちゃんが出来たんだ」

「ええ?!」

私は一瞬我が耳を疑って聞き返した。
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