エチュード ~即興家族(アドリブファミリー)~
嵐のメロディ
「え?!ちょっと何・・」
「石ついてるほうがいいかなー。ダイヤとか」
「あ!ちょっと。それって・・・ゆびわ?」
「うん」
「いらないっ!ていうか、私はついほんの数秒前に、“考えさせて”と言ったばかりなんだけど!あなた、全然私に考える余地を与えてないじゃないの!」
「アキちゃんは“前向きに”考えてんだから、どっちにしても同じだろ?」
「な・・・」

何この人!!
善の強引さと超前向きな姿勢に、絶対、絶対、引く!!!

・・・はずなのに・・・。

「結婚指輪って、石なかったよな」
「え、っと、あんまり豪華な指輪つけるのは・・・ねえ。さっきから何してるの」
「サイズ測ってんの。アキちゃん、指細いなぁ」
「そっ、そんなやり方で、ホントにサイズ分かるの!?」
「さあ」
「・・・やっぱり」と言ってため息をつく私に、善は「一緒に買い行くか」と平然として言った。

ここは怒るか呆れるかするところのはず!
でも、善の笑顔を見ていたら、そんな気がしなくなって。

私は苦笑を浮かべながら、「別に買わなくていいから」と本心を言った。

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