恋する淑女は、会議室で夢を見る
氷の王子と甘くないケーキ
 
 
「ごめんなさいね 真優
 ゴホッ ゴホッ」

「いいから いいから
 ママは心配しないでちゃんと寝ていてねー
 じゃ 行ってきまーす」

「よろしくね」



週末のことだった。



どうしても抜けられない仕事で出席できない真優の父にかわり
妻である真優の母が代理で行くことになっていた某結婚披露宴が今日あるというのに
母は風邪をひいて、熱を出してしまった。

無理をすれば行けないこともない。
しかし、めでたい席に風邪を持ち込んでは失礼になるということになり、
急遽、
真優が代わりに出席することになった。


真優もさすがに23歳の大人である。

不本意ながら胸を掴まれたり、ファーストキスを奪われてしまった昨日の事件も
一晩寝れば、無事立ち直っていた。
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