らぶ・すいっち
何度も何度でも




「あら、やっと収まるところに収まったようね」
「本当、こっちがヤキモキしちゃったわよね〜」
「順平先生なんてモテモテなんだから女の扱いなんて慣れていると思っていたのに、京香ちゃん相手だと全然ダメねぇ」
「そりゃあ、相手は京香ちゃんだしね。仕方がないでしょ」
「そうよね〜。京香ちゃんって見た目しっかりしていそうでも、天然ちゃんだし」


 まだ何も言っていないのに、どうして土曜メンバーのおば樣たちは、私と順平先生が付き合い出したということを知っているのだろう。
 それに何気に毒が混じっていると思うのは気のせいだろうか。

 順平先生のことを子供扱いしている様子だし、私のこともこてんぱんに言っているし。
 確かにおば樣たちから見たら、私たちなんて子供と言われても仕方がないのかもしれないけど。

 このやりとりをみるだけで土曜メンバーのおば樣たちが、私たちにヤキモキしていたということはヒシヒシと伝わってくる。
 申し訳ないやら、恥ずかしいやらで……なんとも言えない心境である。

 それにしてもなんでおば樣たちは、私たちが付き合い出したことを知っているのか。そこが謎だ。
 まさか今までお世話になったからということで、順平先生が皆さんに話してしまったのだろうか。

 私はおば樣たちにバレないように、順平先生に視線を送る。

 
“おば樣たちに言っちゃったんですか?”


 目で訴えたが、順平先生は小さく首を横に振り、この状況に驚いている様子だ。
 と、いっても相変わらずクールな順平先生。感情を表にだすことなく、大賑わいのおば樣たちを静観している。

 すでに今日の授業は終わり、あとは帰るだけ。その状況になった途端に、この騒ぎなのだ。

 今日の土曜教室は少しだけ覚悟はしてきた。
 あえて私の口から順平先生とのことを言うつもりはなかったけど、私は顔に出やすいし、おば樣たちは勘が良いということで、自ずとバレてしまうかもしれないという思いがあったからだ。
 しかし、蓋を開けてみたらいつもどおり。特に追求されることもなかった。

 なぁんだ、私ってば結構うまく隠すことできるじゃない。そんなふうに悦に入っていたのもつかの間。
 料理教室が終わった途端にこれだ。

 しかし、どこから順平先生と私が付き合い出したなんていう情報を手に入れたのだろうか。



< 160 / 236 >

この作品をシェア

pagetop