異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
第32関門~帝都へ。






「お初にお目にかかります、妃殿下。私はセオドア·フォン·ハルバードと申します。以後、お見知りおきを」


あたしへ向かい膝をついて挨拶をしたのは、アイカさんの夫であり現ハルバード家当主のセオドアさんだった。





セイレム王国の首都レンディから2昼夜馬車に揺られ、到着したのはディアン帝国との国境の街。ここは石の城壁で囲まれ、国境を護る部隊が常駐し堅牢な護りがなされていた。


ここで一泊して疲れを取った後、自動車に乗り換えてディアン帝国へ帰る。本来なら通り抜ける予定だったのに泊まりになったのは、バルドからあたしへの配慮だと知ってる。


先を急ぎたいみんなには申し訳ないけど、たびたびひどい吐き気とめまいに襲われていたからありがたい。そのせいでもともと細くなっていた食欲がほとんどなくなってたし、夜もろくに眠れなかったから。


体調不良の最中、意外にもアイカさんのアドバイスが役に立った。


無理して一度に食べるのでなく、ちょっとしたものをちょこちょこつまむといいとか。お腹がすくとよけいひどくなるから、常に食べられるものを持つといいとか。

あと、気をまぎらわせることも大切だと。ディアン伝統の手遊びを教えてもらえた。たしかに夢中になると気がまぎれて体調がましに感じる。


それから、夫とのスキンシップも大切だとアドバイスを受けてバルドのところへ向かえば……。


がっちりと唇を奪われた上にあちこちイタズラされまして、疲労困憊で寝落ちしたりして。


何だかんだ言ってアイカさんに助けてもらえたことは嬉しかった。やっぱり経験者の話はかなりためになりますわ。


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