桜ノ華
夜桜は咲き乱れ
啓志が結婚してからは、よく仕事や夫婦のことについての相談にのった。
元々夫婦仲は良くなかったが子どもができてから悪化したようで、
段々とその回数は増えていき。
「君に話すと心が落ちつく。いつもありがとう、桜」
「啓志さんのお役に立てるなら本望です」
抱き締め合い、惜しむように離れる。
それはいつものことだった。
だけどその日は、いつもと違った。
夜桜が綺麗な、春の夜。
「君はいつまで俺の傍にいてくれるのだろうか」
「啓志さんが望んでくれる限り、ずっとです」
そう言うと啓志は唇を噛み締め、
強く桜を抱き締めた。
「…愛してる…」