Destiny
「知らない」は罪
―side KYOUHEI―
「へえ、キョウがそんなに笑うなんて珍しい」
「ですよねえ。私もびっくりしまして」
「…二人、うるさい」
今日はケンが飲みに来ている。
マスターと先日の「キョウ爆笑事件」について語り合っていて居心地が悪い。
他に客もいないため、無心で店内を掃除して必死に逃げている。
「まあ、笑われた女の子は気の毒だけどな!」
「いえ、それがそうでもないようで。
キョウくんの笑顔に見惚れていましたから」
「あー、そういうあれか。キョウ、泣かせんなよー?」
「うるさいって」
「キョウくんはクールですねえ」
「マスターまでからかわないでください」