異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
第39関門~これでも、まだまだ。




《たわけ者! そのような悠長なことをのたまうてる場合か!!》


突然、恫喝が響いて体がビクッと揺れた。最近あまり聞かなかった声が、腰の辺りに下げた鏡から聞こえる?


「もしかしなくても、今の声はヒスイ?」

《そうじゃ、この愚図の間抜けが! 呆けてる時ではなかろう。今こそ巫女の力を使わずしていつ使うのじゃ。何のためにあの皇子と契約したか、よもや忘れたとは言わせぬぞ!?》


……この不遜な口調は間違いなくヒスイだわ。何となく遠い目をしたあたしは、鏡を両手で持ち上げてみれば。鏡面にはヒスイと……銀色に輝くあの古代兵器が映り込んでた。


ヒスイはいつもの古代装束姿だけれど、古代兵器は施された封印が解けかかっているらしく、無数に巻き付いていた見えない鎖が解けていっているのが感知できる。それに伴い、エネルギーが満ちて徐々に起動しつつあるのだと。


「どういうこと……? 古代兵器は初代の巫女が封印して、水瀬の巫女の血が無ければ動かないんじゃなかったの!?」


《……もう…――…いたのじゃ》

「え、なに?聞こえないよ」


珍しくヒスイがぼそぼそと喋るから思わず訊き返すと、彼女はこちらへ向かいキッと鋭い視線を向けてきた。


《いたのじゃ》

「いた? 誰が!?」

《もう一人の水瀬じゃ》

「は?」


ヒスイの言ってる意味がわからない。水瀬がもう一人? その意味がゆっくりと頭で理解できた時。嘘でしょ、と叫んでた。


「だって……お母さんが最後の巫女で、あたしは唯一の娘だからその血を継いで巫女に……って。お母さんは亡くなったんだから、あたし以外はあり得ないはずだよ!?」

< 764 / 877 >

この作品をシェア

pagetop