覚醒者3号
第四章

1号

橋に差し掛かり、立ち止まる。

無言のまま周囲を見渡した後、橋の欄干に触れた。

…脳裏に浮かぶ、2号と小山田哲平の会話する映像。

やはり二人はここを通ったらしい。

…私が今見せたのはサイコメトリーという超能力だ。

物や人に触れる事で、そこに残る情報や記憶を読み取る能力。

覚醒者2号…黛まどかと、小山田哲平。

あの二人がここを通った時に、その情報や記憶がこの橋に残ったのだ。

これで追跡に確信が持てた。

…私は引き続き二人を追おうとして。

「うわ!」

突然走ってきたバイクのブレーキ音で振り向いた。

「何やってんだてめえ!道のど真ん中に突っ立ちやがって!」

まくし立てるのはバイクにまたがっていた男。

「……」

私は黙考する。

ちょうどいい。

足が欲しいと思っていた所だ。
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