全力片思い
近づくふたりの気持ち
笹沼くんに手紙を書いたあの日から二週間が過ぎた。


いつもの時間に乗った電車に揺られること数分。
停車しドアが開くと、光莉が乗り込んできた。


「おはよう、萌」

「おはよう」

今日も私たちは仲良くふたりで登校していく。


「あっ、そういえば昨日柳瀬くんに“あの日はタオルありがとう”って言われたんだけど……。言われた通り話を合わせておいてよかったんだよね?」

電車に揺られながら光莉は思い出したように確認してきた。


「うん、ありがとうね。話を合わせてくれて」

「それは別にかまわないけど……。でもいいの? 柳瀬くん、タオルを貸したは私だって勘違いしたままで」

「その方が色々と都合がいいからいいの!」

「……ならいいけど」


二週間も経つと、少しだけ自分の気持ちも整理できてきた。
冷静でいられる。
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