豹変カレシのあまあまな暴走が止まりませんっ!
二.秘密のデートは別腹で
***


土曜日の朝七時。
私は鏡の前で悩んでいた。

何を着ていこう。


デートではない。が、隣を歩く木嶋さんに恥をかかせるわけにはいかない。
それなりにそれなりの恰好をしていかないと。
でもそれなりってなんだ。

ロングのスカートは酷いって、この前散々玲に言われたし。
遥か昔に買った短いスカート――学生時代のグイグイ来てる頃に合コンとかで使ってたやつだ――を引っ張り出しながら、ちょっと気合い入り過ぎかなぁなんて、悩む。

結果的に。
白の膝上スカートにペールピンクのゆるかわニット、ちょっと濃いめの化粧に多めのアクセサリーという、完全なるデートスタイルで私はいそいそと玄関を出た。

仕方ないじゃん、なんかいろいろ盛ってったら、収集つかなくなっちゃったんだよ。

こんな恰好、玲に見られたら、なんて言われるか分からない。
見つかる前にいち早くこの場から姿を消そう。

そう思っていた矢先。

なんの因果だ。マンションのエントランスで、玲と鉢合わせてしまうのは。


きっとコンビニへ行っていたのだろう。片手に白いビニール袋、もう一方の手に携帯を持った玲がマンションの入り口から入ってきて、私を見つけて、ちょっとだけ目を大きく見開いた。
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