スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
イケメン御曹司と出会いました⁉︎
「橘(たちばな)ホテルのチャペルかぁ。憧れちゃうな」

パソコンを食い入るように見ながらため息をつくと、後ろを通りかかった原田部長のクスクス笑う声が聞こえた。

「クライアントの情報収集が、脱線し始めてるんじゃないか?」

ドキッとして振り向くと、部長は目を細めながら、私のパソコンを覗き込んだ。

原田部長は、三十二歳のやり手部長だ。一級建築士の資格を持ち、常にクライアントの希望以上の建物造りを提案する。

その仕事ぶりを評価され、三十二歳の若さで部長職に昇進している人。紳士的で気さくなイケメン部長は、私の信頼する頼れる上司だった。

「すみません……つい。橘不動産を調べていたら、ハワイのホテルにまで辿り着いてしまって……」

来週の初めから始まる新しい仕事のクライアント先は、橘不動産という橘グループのグループ企業だ。

橘グループとは、信託銀行の経営をメインとする橘トラストホールディングスを親として、不動産に証券、商社にまでグループ企業があり、まとめて橘グループと呼ばれていた。

「ここか。ハワイでも有名な、橘グループの高級ホテルに併設されてるチャペルだよな。ハワイの海が見えるってやつ……」

部長も食い入るように見ながら、白亜の建物の説明をぶつぶつ読んでいる。

四方がガラス張りで、祭壇からはハワイの海が見えることで有名だ。今、リゾートウエディングで一番人気のチャペルになっている。

「原田部長、やっぱり気になるんですね。いつかのための勉強ですか?」
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