スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
私から別れを告げた方がいいですか?
浅井社長が帰っても、亮平さんはしばらくその場を動かなかった。

私はその間に部屋へ戻ったけれど、ひとりでいても悶々と考えるだけ。

もし私と付き合っていなければ、亮平さんは浅井社長にすぐに返事をしたんだろうな……。

きっと萌さんとやり直していた気がする。

じわりと涙が込み上げてきたとき、部屋のドアが開く音がして慌てて拭った。

「実和子、ごめん。せっかくの休みなのに、なんだかバタバタしてしまって」

亮平さんは少し疲れたような顔で、それでも小さく微笑んでいる。

「いいんです。気にしないでください。シャワー、先に浴びていいですか?」

「ああ、構わないよ」

ソファーから立ち上がり、亮平さんの側を通りすぎようとしたとき、彼が私の腕を掴んだ。

「なんですか?」

つい素っ気ない口調になってしまう。浅井社長との会話や、萌さんへの気持ちを聞きたいけれど、きっと亮平さんも混乱しているだろう。

話をしたら、彼を問い詰めることばかり言いそうだし、あんな場面を見ても、亮平さんを失いたくないと思っている。

だから、今はまだ聞きたい気持ちを抑えておこう。そう決めたのに、やっぱりブラストレーションがあったのか、“なんですか?”のひとことに気持ちが出てしまった。
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