姫、私は誓います。
二章・生きるために

一緒に生きて

レイア姫の手が温かくなったと同時に、ケイは青白くなって安らかに眠った。そこら辺に転がっているような兵士たちの永眠なら幾度となく見てきたし、それに対して特に何か思う事もなかった。レイア姫がこれからも生きていれる事は確かに嬉しいけれど、仲間と認めた一人が目の前で永眠すると涙が出てくるものなんだね。
僕は兵士としても年齢としても皆より低い。何せ、僕は13歳。兵士としては5年だった。ただ何の躊躇いもなく敵を手に掛ける姿を見て周りの人は僕を怖いと気嫌った。誰も口を聞いてはくれないし、傷の手当てもしてくれない。大人なんて皆そんなモノだと諦めて生きていた。

「生きて」

同じ国の兵士に一度だけ体を引き裂かれ、内蔵が外にはみ出して倒れていた事があったんだ。その時、旅行していた姫たちに出会ってそう言われた。初めて言われた言葉であったけれど、その瞬間意識を失って覚えていない。次に目を開けた時にはもう姫の部屋のベッドに横たわっていたんだ。
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