あまりさんののっぴきならない事情
番外編 海里のろくでもない日常
 



 出会ってから、ずっとプロポーズしている気がするんだが……。

 なんで未だに結婚してないんだろうな?

 そんなささやかな疑問を抱きながら、海里は支社長室の窓から、カフェのある方角を見ていた。

 あまりは今日も元気にあの店で働いている。

 成田と一緒に……。

 いや、そんなに働きたいのなら、此処で働け、と思っているのだが、どうしてもあそこがいいらしい。

 まあ、わからないでもないが。

 あくせく働いていた(?)窃盗犯も改心させる、のんびり加減の店だからな。

「出前でーす」
とお昼になったら、あまりが現れた。

 たまにはお昼を持っていってあげますよ、と言っていたのだか。

 あまりが、
「はい」
とデスクに置いたのは、カフェのベーグルサンドや小洒落た容器に入ったお持ち帰り用のスープだった。

「……お前の手作り弁当じゃないのか」
と文句を言うと、

「今朝、そんな暇ありましたっけ?
 一緒に出たのに」
と言ってくる。
< 357 / 399 >

この作品をシェア

pagetop